蓼科生活Vol.12 森のオーベルジュ、花のおもてなし。
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『シャレーグリンデル』のエントランス周りでお客様をお出迎えする季節の花々。
自生していた樹木を活かしながら花木を植栽している

「チェルトの森」別荘地内に、日本最大級の宿泊予約サイト・楽天トラベルの宿泊者評価で
“オーベルジュ部門日本一”に輝いたペンションがある。
宿泊者たちの心を満たす美しい施設と美味しい料理、その魅力を紹介しよう。

※ランキングについて/旅行予約サービス「楽天トラベル」にて、宿泊施設名もしくは施設詳細に「オーベルジュ」のキーワードを含む宿泊施設を対象に宿泊者の評価点数が高い順にランキング。「シャレーグリンデル」は、集計対象期間2016年4月1日から2017年3月31日において1位にランクイン。

蔓薔薇のアーチをはじめとする緑に包まれた『シャレーグリンデル』。長年磨きをかけてきた庭が成熟した景観を見せている

 八ヶ岳山麓のペンションといえば、原村や清里が真っ先に頭に浮かぶが、観光地から離れた「チェルトの森」別荘地内に、日本一との高評価を得ているペンションがあるとは知らなかった。そこは、本格的なフランス料理を味わえると評判のペンション『シャレーグリンデル』。料理のクオリティはもちろん、食器やテーブルコーディネーション、インテリアやガーデニングの演出など、あらゆるところにおもてなしの心が行き届き、一度宿泊しただけでファンになってしまう人が多いという。

森を望むサンデッキでは、やわらかな木洩れ陽とそよ風に包まれて食事やお茶が楽しめる

 オーナーの田中佳明さんは、定年退職を迎えたらペンションを始めたいという想いを長年温め、十五年前に『シャレーグリンデル』を購入。森の隠れ家のような所で食事を楽しめるオーベルジュスタイルにリニューアルしてオープンした。蓼科高原の自然の中で特別な休日を過ごしていただけるよう、四季の彩りにあふれた環境づくりを心がけている。

ノウサギやリスたちがやってくる庭に設けられた森の小径。
蔓薔薇のシーズンになると、右サイドの白いアーチが花のトンネルになる

 最初にお客様を出迎える庭は、自生していた樹木を活かしながら季節ごとに咲く花木を植え、広々とした敷地内を散策できる森の小径や蔓薔薇のアーチを自ら制作。毎年咲いてくれるといいのだが、高冷地の蓼科高原で冬を越させるのはなかなか難しく、苦労は絶えないという。
 また、お客様をもてなす室内空間には、エントランスロビーをはじめ各居室に薔薇の生花を飾り、吟味した調度品や絵画を配置。床は顔が映り込むほど磨き上げている。

重厚感のある吹抜の玄関ロビー

玄関ホールでは薔薇の花が、さりげなくお出迎え

お客様を驚かそう、わくわくしてもらおう。

 料理を担当する奥様の里子さんは「料理を通してお客様に喜びと感動をお届けしたい」とペンションオープン後、さらなるステップアップを目指し、1895年にパリで設立された料理教育機関『ル・コルドン・ブルー』東京校に通い、上級コースを卒業。世界的な一流シェフに学んだ味とセンスで、美食愛好家をも唸らせる料理 を提供している。

『ル・コルドン・ブルー』で本場のフランス料理を学んだ里子さん。料理ディプロマの修了証(サーティフィカ)と銀メダルが授与されている

赤・ピンク・黄のバラ色が三層になった「アボカドとカリフラワーとビーツのカクテルグラス仕立て」

本格フレンチのディナーは、その日その時の旬を活かした多彩なメニューが並ぶ。
四季折々の料理を楽しみに訪れるファンが多い

 地元産をメインに本場フランスから仕入れた高級食材も惜しみなく使い、味はもとより盛り付けの美しさを追求しているという。妥協のない本格フレンチを、蓼科高原の自然の中で味わう驚きと感動は、都会のレストランには決してないもの。里子さんは「お客様を驚かそう、わくわくしてもらおう、その一心でやっています」と語り、その熱意を料理一品一品に込めている。
 現在、ペンションブームは過ぎ去り、固定客を確保するのが難しいと言われているが、『シャレーグリンデル』の客室稼働率は高く、行楽シーズン中はほぼ満室。世の中の動向など、どこ吹く風だ。

四季折々の風景が窓に広がるダイニングルーム。上質なテーブルコーディネートが料理を引き立てる

蓼科で育むオーナー同士のコミュニティ

 『シャレーグリンデル』は、旅行者だけでなく、ディナーやお茶会などで利用する別荘オーナーも多いとのこと。庭、室内、食器、料理、テーブルセッティング、その全てに細やかで一本筋の通った『シャレーグリンデル』の持つ世界は、目も舌も肥えたオーナーたちに好評だ。

お客様一人一人が使うテーブルナプキンも薔薇の形にたたまれている。真っ白なテーブルクロスに深紅の薔薇。前菜が運ばれる前から極上の時間がはじまる

花の王冠のように華やかな「スイートローズケーキ」。
『ル・コルドン・ブルー』で磨かれたセンスと繊細な技が、
格別のおもてなしとなる

 また田中さんご夫妻は、別荘地内の散歩を日課にしており、時間に余裕のある日は、槻の池湖畔や、鳴岩街区の東端にある水場まで一時間半近く歩いているという。散歩の途中で出会ったオーナーと顔馴染みになり、お互いの家を行ったり来たり。森の中で暮らしていると誰もが気さくになれるのか、初めて会ったその時から打ち解けられることも多く、都会で暮らしていた頃よりも友人が増えたという。春には今年もよろしくと“ 開山式”、秋の終わりにはお疲れ様と〝閉山式〟。ご近所同士で集まって食事会を楽しんでいるそうだ。

田中さんが散歩によく訪れる槻の池。
湖面に映る森や青空が美しい

お二人で『シャレーグリンデル』の世界を創ってきた
田中佳明さん、里子さんご夫妻

 「チェルトの森」別荘地で、『シャレーグリンデル』という一つの世界を創り、ひたむきにオーベルジュの理想を追求している田中さん。仕事の歓びだけでなく、別荘地での暮らしも謳歌している。
 どんなに忙しくても、窓の外には豊かな森が広がり、小鳥のさえずりが聞こえる。心癒される環境だからこそ、創り続けていけるものがある。
 『シャレーグリンデル』の人気の秘訣は、オーベルジュとしてのクオリティだけでなく、生き生きと充実した日々を送る田中さんのライフスタイルにあるのかもしれない。そして「チェルトの森」は、『シャレーグリンデル』のある別荘地として、オー ベルジュファンの間にその名を広め続けていくだろう。

取材協力

蓼科高原 シャレーグリンデル

TEL.0266-76-2024 FAX.0266-76-5699

〒391-0213 長野県茅野市豊平チェルトの森鳴岩2-1-9

 蓼科高原の自然に包まれながら本格フレンチをいただけるオーベルジュ。庭を彩る花々や館内各所に飾られた薔薇、厳選されたインテリアや調度品が特別な空間を演出。森の隠れ家のようなペンションで、特別なひとときが楽しめる。

チェックイン16:00~、チェックアウト~10:00
ディナー/18:30~21:00
料金/各種プランあり(詳細はHPをご覧ください。)

https://chalet-grindel.com/